Loop Engineering HITL / HOTL / HWTL

ループを設計し、
人は「どこ」に立つか

AIに任せた仕事は、1回きりの指示で終わらせるのではなく、 「実行 → 検証 → 改善」という輪(ループ)にして回すと質が上がります。 このページは4段です。まずそのループの作り方を1枚の図で示し、 次に8月12日の会議で出た「VS」をその図に重ね、 人がループのどこに立つかを実際に操作して確かめ、 最後に OOKABE GLASS が目指す全体像(HWTL)を1枚にします。 末尾に、半年後に効いてくる失敗を3つ付けました。

FIGURES
図解3点
DEVICE
体験装置1基
SUBJECT
ループの設計と人の位置
DATE
2026年8月19日
FIG. 01

AIの仕事は、1回で終わらせず「輪」にして回す

AIをうまく使っている現場がやっているのは、賢い指示を書くことではなく、 実行 → 検証 → 改善の輪を作って回すことです。人の仕事でいえば、 書いた原稿に赤ペン添削を受けて、直して、また出す。あの回し方をAIに組み込みます。 これをループエンジニアリング(時間軸の設計)と呼びます。

実行・検証・改善の3つを輪にして回す図 回すほど 質が上がる 実行 AIが成果物を作る = 原稿を書く 検証 別のAIが採点する = 赤ペン添削 ≠ 作った本人 改善 直し方を決める = 直して出し直す 1周ごとに、前より良いものが出てくる
肝は、検証を別のAIに任せること 作った本人は、自分の成果物に甘い。人間も、AIも同じ。

AIの使い方の設計は5つある — このページが扱うのは、そのうちの④

PROMPT = 仕事の頼み方
CONTEXT = 渡す資料選び
HARNESS = 職場の環境づくり
THIS PAGE LOOP = 赤ペン添削を回す
GRAPH = チームで分業

ここから先は、すべて④の中の話です。ループを組んだうえで、人がその輪のどこに立つか。 それが HITL / HOTL という言葉の中身です。

FIG. 02

「今のオペレーター VS エージェント」
= もう1本のループを、人の隣に立てる

8月12日の経営会議で、AIオペレーターの開発について「VS」のご指示がありました。 これは図1の輪の中に検証役を1人足すという話ではありません。 図1の輪そのものを、人の隣にもう1本立てるという指示です。

「今のオペレーター、VSエージェントを作りなさい」

「成約率の高いVSエージェントを作りなさい」

2026.08.12 経営会議の録音より
人のループとVSエージェントのループが並んで回り、成約率という共通のものさしで突き合わされる図 今の オペレーター VS エージェント 成約率 共通のものさし 今のやり方で対応する 人が回す 同じ案件に自分で対応する 自分で直しながら回る 人のやり方を正解にしない。ものさしは成約率だけ

「VS」は、人と並んで自律的に回るループを、もう1本立てるということです。 AIの側のループは、人のやり方を写して覚えるのではなく、 成約率という結果だけを見て、自分で直しながら回ります。 だから人のやり方を正解にしない。ここが方針転換の中身です。 図1の「検証を別に任せる」も守られています。採点役は人ではなく、成約率という結果です。

比べるのは成約率だけ。人が上回っていればAIの側が直り、AIが上回れば人の側が学ぶ。 取れなかった案件が、次のVSエージェントの教材になります。 そしてこのもう1本が人と同等以上になったとき、その業務は図4の「AIの速度で回るループ」に移ります。 監査法人対応で挙がったAIによる監査のセルフ化も、同じ形です。 外から指摘される前に、自分たちの側にもう1本、回る仕組みを持つ。

FIG. 03

装置:同じループを、人の位置だけ変えて動かす

円い軌道は図1のループ、中心はAI、動く点は1件の仕事です。3つのモードで軌道はまったく同じ。 変わるのは人が立つ位置だけです。ボタンを実際に押して、速さと止まり方の違いを確かめてください。 なお HITLが遅くなる理由の多くは、人の判断ではなく、承認したあとの受け渡しの手作業のほうです。 この装置でも1件につき2回、手が要ります。

PROCESS LOOP 待機中 AIの処理ループと人の位置を示す図 AI 自律で回る 人が運ぶ 人は輪の中 HUMAN IN THE LOOP
処理済み
0
人の操作
0
異常の見逃し
0

FIG. 04

OOKABE GLASSが実現したい形 —
HWTL(Human with the Loop)

HITL・HOTL は業務ごとに選ぶものです。会社全体で見ると、複数のループが同時に回り、 人はその間を動くことになります。この状態の全体像を、この資料では HWTL — Human with the Loop(ループとともに働く人)と呼びます。 HITL・HOTL に並ぶ4つ目の型ではなく、業務ごとに貼り分けた状態を1段上から見た言葉です。

複数のループが同時に回り、人が輪の中・輪の上・輪の外に分かれて立つ全体図 ? 2 問いから次のループが生まれる 監視AI 3 AI 1 見積・仕様の確定 HITL|人が輪の中に残る AI 接客の一次対応 HOTL|AIの速度で回る AI 定型事務・帳票 HOTL|AIの速度で回る AIは、設計されたループの中で定型業務を高速に、高い水準でさばき続ける

業務によっては HOTL で管理し、内容によっては HITL が併存する。 人は、人でないとできない仕事と、新しい価値や問いの創造と、AI駆動の監視を受け持つ。 AIは、設計されたループの中で定型業務を高速に、高い水準でさばき続ける。 この併存した状態の全体を、1段上から指す言葉が HWTL です。

FIG. 05

形だけのHITL、形だけの監視

導入時ではなく、半年後に効いてくる失敗です。どれも「人が関与している」という 形は保たれたまま、中身だけが抜けていきます。

01

手は動いているが、目は通っていない

画面はある。承認者もいる。しかし判断材料が画面に載っておらず、実質は押すだけ。 もっと多いのは、AIの出力をコピペして次のシステムに貼っているだけ、という形です。 人は作業として関与しているので「人が介在している」ように見えますが、 間違いを止める人はどこにもいません。

検査:承認画面に、否認するための材料が載っているか

02

誰も見ていない監視画面

ダッシュボードは作った。停止ボタンも付けた。しかし止めた実績が1度もない。 HOTLは「見ている人がいる」ことが前提の設計なので、監視が形骸化すると、 実態は輪の外(HOOTL)に落ちます。

検査:止めた回数・拾い上げた件数を数えているか

03

システム単位で1つに決めてしまう

「このシステムはHITLです」という決め方は、ほぼ必ず過剰か過少になります。 貼り分ける単位はシステムではなく行為です。取り消せない行為の前にだけ人を置き、 残りは監視で受ける。図4の貼り分けは、この単位で行います。

検査:取り消せない行為だけを列挙できているか